「娘へ」

見出し画像

 

2022/9/23(Fri)

娘のジュースが
冷蔵庫にあったので、
身体に悪そうだなと思い、
わたしが飲んだ。

次の日、
同じジュースが買ってあって、
張り紙がしてあった…

#パパへ
#「のむなキケン」
#飲みたかっただけ

○何がいいのか…

「娘へ」

パパが小さい頃のお正月は、
お年玉をかけて、
子供たちがギャンブルしたんだ。
「おいちょかぶ」
「チンチロリン」
「ドンジャラ」
「ポーカー」
色々あったな。
最終的にはジャンケンで
お年玉を奪い合った。
兄弟でもいれば、
後で分ければ良いんだけど、
パパは一人っ子だったから、
一人勝ちしないと
最終お年玉はなくなる。
今でもはっきり覚えてるのは、
テーブルの上で
100円玉を弾いて、500円玉を
壁に丁度当てるという、
よく分からないゲーム。
なかなかみんな、
丁度壁に当たらなかくて
すごい数の硬貨が
テーブル上に溢れてた。
子供にとっては大金。
壁に丁度付けば、
全てのお年玉を総取りできる。
パパの番が回ってきて、
狙いを定めて100円玉を弾いた。

ピタっと、
500円玉は壁に付いて止まった。
全員の子供達が
「付いてないっ!」
って叫んだけど、パパは絶対
付いてると思ったから、
両手で全ての硬貨を集めた。
お年玉袋に
全部入らなかったから、
ポケットにも入れた。
そして言ったんだ。

「もう一回する?」

パパも本当は
したくは無かったし、
帰りたかったんだけど、
これは大事。
勝負だから、
わだかまりがあってはいけない。
勝ったのに、逃げるように
帰るようになるから。
子供達はもう戦意喪失してた。
だからパパは帰ったんだ。

だけどね、
パパのお年玉は、全て
母親に没収されることになる。

いつの時代も、
大人達は卑怯で
自分達の事しか考えていないし、
政治家は国民の為に
頑張っていないし、
お医者さんは、
治らない薬を出すし、
治験中の注射を打たせる。
ジュース屋さんは、
びっくりするほどの
砂糖を入れて、
身体に悪い色を付けて
子供達に飲ませるんだ。
TVは知らない間に不安を煽り、
人生にとって無意味な情報を、
意味あるものとして届ける。
そして
子供達が好きなものを歪めて、
お金に変える。

信じるし、信じちゃいけない。
もしかしたら、本当のことは
何一つ無いかもしれない。
君が大きくなる時、
もう少しだけ豊かで
幸せな世界になるように、
パパは、もう少し
頑張ってみるよ。
それにはまず、
「のむなキケン」と
書いてくれた、
この身体に悪いジュースを
パパが代わりに、
もう一回飲もう。

あいしてる
上田慎一郎

画像
夏の思い出

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です